Hajime's blog.

日々の出来事(随筆)を投稿します。

悪夢・恐怖のタクシー

短編小説:二部作

タイトル: 悪夢・恐怖のタクシー

登場人物紹介:タクシー運転手、ケンという名の男性乗客1名。

あらすじ: ケンはバーで飲んだ後、タクシーで帰ろうと車を止めた。タクシーに乗り込み、運転手に行き先を告げるが、運転手は何も言わずに車を走らせる。ケンは運転手の態度が悪いと思い、顔を見ようとしたが、暗くて見えない。目的地とルートが違うことに気づいたケンは、不審に思い、運転手に止まるように言った。しかし、運転手は黙ったまま、それどころか、さらにスピードを上げた。ケンが「止まれ」と叫ぶと、タクシーはようやく止まったが、そこは墓地の中だった。ケンは運転手に「なぜここにいるんだ!」と聞いた。運転手の顔が消えていることに気づいたケンは、悲鳴をあげて車から飛び降りた。真っ暗で外灯もなく、タクシーは走り去ってしまった。呆然とするケンだったが、墓地から気配を感じてよく見ると、白い服に長い髪の女性が立っていた。その顔は醜悪で、この世のものとは思えませんでした。ケンは逃げようとしたが、震えて動けなかった。その瞬間、女は彼に襲いかかった。

 

 

 

 

 


第一話
ケンはいつも責任感のある飲み方をする人だった。一杯でも飲んだら、絶対に車の運転はしない。だから、友人たちと夜遊びした後、タクシーを呼んで家まで送ってもらうことにしたのだ。

もう夜も更け、街は閑散としていた。聞こえるのは、タクシーのエンジンの音だけだった。ケンは疲れていて、早く家に帰って眠りたかった。彼は座席にもたれかかり、目を閉じた。

一方、タクシーの運転手は、奇妙な人だった。不気味な雰囲気が漂っていた。ケンは話しかけようとしたが、運転手は黙ったままだった。しかし、「今日は調子が悪いんだろう」と軽く受け流した。

数分後、ケンは運転手が通っている道が、いつも通っている道と違うことに気がついた。彼は運転手に止まるように言い、なぜ正しい道を通らないのかと尋ねた。しかし、運転手は何も言わず、タクシーを加速させた。ケンは心臓がドキドキして、怖くなってきた。

運転手はケンを墓地まで連れて行き、タクシーはついに急停車した。ケンは混乱し、怖くなった。運転手に「何があったんだ」と詰め寄った。その時、ケンは運転手の顔が完全に消え、ブラックホールのような穴が開いていることに気がついた。ケンは血の気が引くような悲鳴を上げ、車から飛び降りた。

彼はタクシーからよろよろと降り、体を支えようとしたが、あまりの恐怖にそうもいかなかった。墓地は真っ暗で、ケンは何も見ることができなかった。しかし、彼は気配を感じ、それは彼の背後から迫ってきていた。振り向くと、白い服を着て長い髪をした女性が立っていた。彼女の顔はグロテスクに歪んでいて、この世のものとは思えないほどだった。

ケンは逃げようとしたが、足が動かなかった。女は彼に向かって動き出し、ケンは気絶しそうになった。どうしたらいいのかわからず、怖くて叫ぶことすらできなかった。女はどんどん近づいてきて、ケンは自分がもうだめだと思った。

突然、その女性がケンに突進してきて、ケンは地面に倒れました。彼は泣き叫んでいたが、誰も彼の声を聞くことはできなかった。女は彼に襲いかかり続け、ケンは「もうダメだ!」と思った。

次の瞬間、ケンは自分のベッドで目を覚ました、頭痛がした。タクシーに乗った後のことは何も覚えていない。

ケンは、ただの悪夢だと思い、それを払拭しようとした。しかし、その夜に感じた恐怖と恐ろしさは、長い間、彼の心に残っていた。もう二度とタクシーには乗らないし、墓地にも近寄らないようにした。恐怖のタクシーの夜は、彼の記憶に永遠に刻まれ、残りの人生を悩ませることになった。

 

 

 

 

 

 

第二話
あの運命的な夜から数ヶ月が経ったが、ケンはあの時の恐怖感を拭い去ることができなかった。顔の見えない運転手や白衣の幽霊のような女性の悪夢を見るのだ。あれはただの悪い夢だと思い込もうとしたが、心の底ではそうではないと思っていた。

ケンの友人たちは、ケンが内向的で不安な性格になっていることに気づいていた。しかし、あの恐怖のタクシーでの一夜のことを話す気にはなれなかった。自分のことをおかしいと思われるのが怖かったのだ。

ある日、ケンが仕事から帰る途中、道端にタクシーが止まっているのに気がついた。そのタクシーは、あの恐ろしい夜に乗ったものと同じ車種だった。心臓がバクバクして、気絶しそうだった。

彼は気持ちを落ち着かせ、そのタクシーをよく見てみることにした。近づいてみると、運転席の窓が開いていることに気づき、声をかけた。

「すみません」 、ケンは震える声で言った。「お聞きしたいことがあるのですが......」

運転手は自分に向き直り、ケンは恐怖のタクシーの運転手とは違う顔をしていることを確認した。彼は安堵のため息を漏らした。

"何かお困りですか?" とドライバーに聞かれた。

「あー、何でもない 」ケンは恥ずかしくなって言った。「ただ、見覚えがあると思っただけです」。

運転手はうなずいて新聞を読み始め、ケンはタクシーに近づいたことが馬鹿らしくなって、その場を立ち去った。

しかし、歩いていると、肩を叩かれたような気がした。振り向くと、墓地から来た女性が彼の後ろに立っていた。彼は凍りつき、動くことも話すこともできなかった。女は歪んだ顔で彼を見つめ、つんざくような悲鳴をあげた。

ケンは汗まみれになってベッドで目を覚ました。彼は、また悪夢を見たのだと悟った。彼は起き上がると、顔に水をかけ、恐怖の感覚を振り払おうとした。

鏡に映った自分の姿を見て、首筋に奇妙な跡があることに気づいた。まるで誰かに強く掴まれたような、手の跡のものだった。

ケンは身震いして、恐怖のタクシーでの一夜が本当に終わらなかったことに気づいた。それは今までずっと彼につきまとい、彼の残りの人生もそうし続けるだろう。